February 9, 2024

2024年4月9日より『 春の音色を聴く 〜有元利夫 in 松川ボックス〜 』開催のお知らせ


有元利夫 Les QUATRE SAISONS:「四季」より「春」カラーリトグラフ 1983年 ©️YOKO ARIMOTO

 

この度《THE MIRROR》ではオープニング第2弾として『 春の音色を聴く 〜有元利夫 in 松川ボックス〜 』を開催いたします。
有元利夫は1985年2月に38歳の命を閉じました。しかし10年余りの短い時間に描かれた絵画は今なお多くの人を魅了し続けています。

私は19世紀末以降の日本の美術は、当然のことながら、欧米の近代美術とは異なった歴史を歩んできたと考えています。デカルトを経験していない日本人が近代的価値とその表現である近代美術を受け入れることは難しかったのです。

しかし、その困難さは、反対に、近代に疑義を持ち始めた欧米やアジアを含む人々に救いの手を差し伸べたように思います。そのようなアートに、例えば「具体」や「ハイレッドセンター」そして「もの派」があるのではないでしょうか。

有元利夫はそうした「救いの手」を差し伸べた一人です。近代以前のイタリア絵画につながることで、有元利夫は近代が失った精神性を表現することに成功しました。エニグマティックで不透明、不可思議な表現は多義的な解釈を可能とし、人々の想像力に働きかけます。そして安堵と安らぎの時空を提供します。

松川ボックスを舞台に展開しているギャラリー《THE MIRROR》は個人住宅でアートとそれを囲む建築空間を味わう場です。有元利夫の作品はただその前を通り過ぎるのではなくゆっくりと見るべき作品です。

本展覧会が4月から5月にかけて開催されることからタイトルを『春の音色を聴く』としました。有元利夫は音楽を愛しました。今回のメインイメージは作品『Les QUATRE SAISONS』の中の1点の春をテーマにした作品です。本作品がヴィヴァルディの『四季』へのオマージュであることは言うまでもありません。会期中はバロック音楽の演奏会を開催する予定です。

《THE MIRROR》 アーティスティック・ディレクター 清水敏男


『春の音色を聴く 〜有元利夫 in 松川ボックス〜』開催概要

会期|2024年4月9日(火)〜5月18日(土)
会場|169-0051 東京都新宿区西早稲田2-14-15 松川ボックス A棟
赤い柵が目印です
開廊時間|火曜〜土曜日 午後1時から5時まで
完全予約制| 1時間入れ替え制
STORES予約システムよりご予約ください▶︎https://coubic.com/themirror/3513692
定員|各回10名まで
観覧料|1名 1,000円(税込)、大学生以下 500円(税込)
中学生以下 無料(未就学児の来場はご遠慮ください)
出品作品|有元利夫
Les QUATRE SAISONS : 「四季」カラーリトグラフ4点 1983年
8 pieces d’ARLEQUINES:「8点のアルルキーヌ」エッチング8点 1983年
3 pieces de JEUNES FILLES :「3点の少女」エッチング3点 1983年
NOTEBOOK 1983 :エッチング 21葉 1983年
有元利夫作品の著作権は著作権者に帰属します
主催|TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE
アーティスティック・ディレクター|清水敏男
マネージングディレクター|酒田翠
ロゴマークデザイン|浅葉克己
instagram|@themirror_tsao
問い合わせ先|themirror@shimizuoffice.com

【ご来場にあたって】
・入れ替え制になりますのでお時間に余裕を持ってご来場ください。
・住宅地にあるギャラリーのため、ギャラリーの外でお待ちいただくことはご遠慮いただきますようご理解の程お願いいたします。
・開廊日が祝日の場合も開廊します。
・開廊日、開廊時間、入場時間は予告なく変更、臨時休業する場合があります。
・小中学生は無料ですが、チケット予約が必要です。
・団体や前売り他各種割引制度は実施しておりません。
・バリアフリー建築ではありませんので見学の際に配慮が必要な方は、事前にご相談ください。
・飲食持ち込み不可です。
・松川ボックス内の写真撮影はSNSに投稿する等の個人的利用に限り可能です。
展示物については会場にて撮影の可否をお知らせします。

今後のレクチャー、イベントスケジュールについては、決定後インスタグラム等でお知らせします。


宮脇檀「松川ボックス」|写真 梶原敏英


画家 有元利夫
東京藝術大学デザイン科に在学中にイタリアを訪れ初期ルネッサンスのフレスコ画に触れたことで、技法ならびに絵画のあり方に開眼した。
電通に就職後も絵画制作と展示活動を継続しやがて画家として独立した。1975年に初個展をみゆき画廊で開催、1977年に安井賞特別賞、1980年に安井賞を受賞するなど高い評価を確立した。彌生画廊での展覧会をはじめとする国公立美術館、画廊などでの展覧会を通じて作品を発表し感銘を与え続けた。
版画家としても版画の出版活動を旺盛に続けた。バロック音楽を愛し自らブロックフレーテを演奏、作曲にも手を染めた。惜しまれつつ1985年2月に38歳で逝去した。

アーティスティック・ディレクター 清水敏男
東京都庭園美術館キュレーター、水戸芸術館現代アートセンター芸術監督を経て1997年よりインデペンデントキュレーター事務所主宰。Ise Cultural Foundation(New York)芸術監督(1998年〜2001年)、上海ビエンナーレ芸術監督(2000年)、上海万国博覧会日本産業館キュレーター(2010年)などを歴任。東京ミッドタウン六本木・日比谷、大手町フィナンシャルタワーなどのパブリックアートの芸術監督。学習院女子大学・大学院教授(美術史、アートマネジメント)。