MESSAGE

フランスではキュレーターはオーケストラの指揮者に例えられます。

 

パブリックアートのキュレーションでは

アーティスト、クライアント、建築家、デザイナーなど様々な人々が演奏家であり

そこからアートワークを指揮者であるキュレーターが交響曲を指揮するようにつくり上げていきます。

 

パブリックアートの目的は街づくりです。

どのような街にしたいか、アートでどのように街を変えることができるか、

それがいつも、パブリックアートを仕掛けるときにキュレーターに課せられる命題です。

そのためにその街の文脈を考え、ふさわしいアーティストとコラボレーションをするのです。

 

情報が氾濫し、AIが発達することで社会がタコツボ化してきている現代ですが、

その状況が新型コロナウイルスの蔓延によって加速しています。

リモートワークによるストレス、人間は分断されると不安定になります。

そういうときに、みんなが共有できる体験として、パブリックアートの可能性を信じます。

開放的なパブリックスペースでアートに触れ、感性を刺激されます。

そこには、アートを通じた人と人とのふれあいが生まれます。

 

駅、ビル、広場、公園……。

様々な公共の場にアートという気づきを置く。

これは何だろう?

人は、自分が理解できないものを見ると、想像力を働かせます。

その思考を日常的に経験していれば、煮詰まることは少なくなるのではないでしょうか。

 

子どもの頃から日常的にアートに触れていると、人間の考え方に幅ができると思います。

現代美術はむずかしいと言われるけれど、むずかしいのではなく、新しい体験なのです。

子どもは無邪気です。近づきたい、さわってみたい、

子どもに受け入れられるかどうかが、そこにアートがある意義を問うひとつのバロメーターになっています。

 

日常の中に非日常がなかなかつくれない昨今、

アートは暮らしの中に日常と非日常という二面性を生み出し、人生を豊かにします。

いつもの街にずっといてくれる非日常が、パブリックアートなのです。

 

TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE
アーティスティック・ディレクター 清水敏男

 

 

 

TOSHIO SHIMIZU ART OFFICEでは、パブリックアートのコンサルティングを中心に、人と街とアートの出会いの場をプロデュースしてきました。
そこで、近年プロデュースを行ったプロジェクトを紹介いたします。

 

 

大手町フィナンシャルシティグランキューブ

 

日本の中枢機能が集積している大手町。灰色のビルが並んでいるこの街には、色彩が必要だと感じました。
建築物や空間そのものがアートとなるように、国際的に著名なアーティストたちを招き、環境を考えたオリジナル作品をプロデュースしました。排気塔までひとつの作品に仕上げています。
デベロッパーがこの街に温泉を掘ったことにちなんで、作品は「地下から街や人のエネルギーが湧き出てくるようなもの」がテーマ。シンプルだけど人を惹きつけるようなミニマルアートで、光と色彩豊かな街を演出しました。

 

ダニエル・ビュレンヌ『大ゲートと床全面:サイトスペシフィック作品 東京2015/2016』
photo by Daishi Saito

 

金子潤『流動』
photo by Daishi Saito

 

 

 

東京ミッドタウン日比谷

 

オフィスエリアにあるスカイガーデンに働く人の拠り所となる照明彫刻を設置しました。
ビジネスをしている間は頭の中が四角になりがち。自然豊かなフランスのブルターニュ地方で活躍するアーティストによる大地に根付くような力強さが、昼は緑に溶け込んだ生命力溢れるオブジェとして、夜は照明が灯り幻想的な世界を演出。昼と夜で異なる表情をするアートがそこに集う人々を癒します。
また2020年3月には、パークビューガーデンに『生誕』という名の白大理石を設置。「ここから何かが生まれる」予感を感じさせる卵型のオブジェは、思わずみんなが触りたくなるような愛らしいフォルムです。

 


ニコラ・フェドレンコ『Hopeful』
photo by Hiroshi Wada

 


安田侃『生誕』
photo by Hiroshi Wada

 

 

 

G4 BRICKS BLD.

 

昭和初期に建てられ戦災を生き延びた銀座の古いビル「名古屋商工会館」が建て替えられることになり、新しい時代が始まる場を創ることを目指し、取り壊し前のビルすべてを使ったアートイベント『THE MIRROR』をプロデュースしました。アート、デザイン、建築、ファッション、演劇、書籍など多種多様なクリエーターたちがジャンルを超えて出会い、多くの観客が来場しました。ビルの裏手には江戸時代に建立された宝童稲荷神社があり、新築ビルを建てる際に参道とブロンズの猿を設置しました。参道のアート名を『猿結参道 -えんむすぶさんどう-』とし街を見守るシンボルとなっています。

 


渡辺元佳『猿結参道 -えんむすぶさんどう-』
photo by Daishi Saito